熟練の技「仙台箪笥」(その1)
美しい欅の木目が、独特の木地呂漆(きじろうるし)塗りの優しい紅色に包まれ、重厚感のある金具がより一層鮮やかに引き立てています。仙台を代表する伝統工芸品である仙台箪笥は、和室はもちろんのこと、洋室にもマッチするインテリアとして注目されている現代家具の一つで、職人の伝統技が作り上げた一生使える逸品です。
仙台箪笥の歴史は、遠く幕末まで遡り、現在の仙台市を中心とした旧伊達藩で作られ、使われてきた箪笥が、俗に「仙台箪笥」と呼ばれています。その箪笥は非常に個性的で、材料は表が欅、内部は桐(古くは杉)を使用し、塗りと金具に大きな特徴があります。塗りは、木地呂漆といわれる漆の透明塗りの一種で鮮やかな紅色の漆を透かして木目を鮮やかに浮き出させています。
金具はぽってりと打ち出した「牡丹」や「唐獅子」「竜」の鉄金具がダイナミックに打ちつけられている。このような強い個性を持った箪笥は、当初は武家用、それも中・下級武士用の箪笥だったといわれています。武士が内職に指物をしていたので、最初は武家相手に箪笥を作っていたが、明治になって武家がなくなり、形はそのまま一般庶民に使われるようになったのだとか。