熟練の技「仙台箪笥」(その3)
仙台箪笥が、最も隆盛を極めたのは、明治末期から大正時代にかけてのことで、当時はヨーロッパにも輸出され、中でもドイツでの評価が高かったといわれています。第一次大戦後、仙台の連隊にドイツ人の捕虜収容所が置かれ、このドイツ兵が帰国する際のお土産として仙台箪笥を購入し本国に送ったのだとか。
この頃を頂点に、その後日本人の生活様式も少しずつ変わってきたため、大きな金具のついた民芸品的な仙台箪笥は敬遠されるようになり、全体の販売数は減少してきた。戦時中には、一切の生産が停止するに至ったという。しかし、戦後、この伝統的技術を復興させようと人々の熱意と努力によって生産が再開され、伝統工芸品として見直され始めました。
近年では、宮城県伝統工芸品に指定されるなど、漆を塗り替えれば100年も使える逸品という位置づけになってきている。長谷部さん達が組合を立ち上げた目的の一つには、次の世代への継承ということがある。「ジャパンブランド育成支援事業に応募して、今年3月に認定され4月から今後の展開についての検討を重ねています。