ムサシ達は泣いています
先日ある新聞に、目の不自由な人を誘導して横断歩道を渡っている途中、車にはねられて死亡した盲導犬の記事が載っていました。裁判で盲導犬の持ち主は指導・育成費用等の未償却額が600万円と主張したが、加害者側は犬の値段は精々20万円程度であると主張したということであった。これに対して出された判決は295万円だったとか。
問題はこの判決をどう見るかです。ある人は600万円の主張に対して295万円は安すぎるというかもしれない。また別の人は、裁判官が申立人の主張をある程度聞き入れた画期的な判決だというかもしれません。しかし、これらの考え方はいずれも、"モノの値段"をめぐっての論争であり、ワンちゃん達の尊厳については一言も触れていない。
盲導犬が単に暴走して、身一つで車にはねられたというのであればいざ知らず、彼はご主人の命を守るために忠実に仕事をしていたわけであるから、この忠誠心は高く評価されてしかるべきである。確かに、ワンちゃんは、法律上はモノであるから、その値打が損害賠償請求の基礎になるのかもしれない。しかし、命がけの代償としてはあまりにもドライすぎる気がします。