同じ空気を吸うことの素晴らしさ
ムサシのゆったりとした散歩に付き合うため、仕事を早めに切り上げる工夫をするようになりました。元々ここ10年はそうしたライフスタイルに馴染んできたのですが、最近は更にじっくりと腰を据えムサシと付き合うことに決めたのです。一日一日を大事に過ごすことで、仕事を疎かにしなくても十分時間は捻出できることを知っていたからです。
当然ムサシは私のそうした対応を喜んでくれました。散歩パターンも以前に比べるとオプショナルなメニューはめっきり減り、解かりやすいシンプルなものになってきたような気がします。特に、家の門を出て右に向かうときは、裏の緑地公園に真っ直ぐ向かい、公園に到着すると早速座り込み、じっくりと景色を眺め始めるのです。
私もムサシと一緒に芝生に腰を下ろし、なるべくムサシの視線に近い状態で景色を眺めることで、彼の心境を理解しようと努めました。残念ながらこれといった収穫はありませんでしたが、納得がいくまでそこに止まることの意味はなんとなく解かったような気がします。とにかく、ムサシが心おきなく過ごすせる時間を何より大事にしたかったのです。