ムサシと命名
私は相変わらず、家で犬を飼うなどもってのほかと主張し続けましたが、多勢に無勢とはこのことでついに認めざるを得ない状況に追い込まれてゆきました。「ムサシ」という名前は家内がつけたもので、何でも、この子は両手を器用に使うので、二刀流の宮本武蔵にあやかり、そう命名することになったのです。その頃には私もムサシの可愛さにすっかり毒されてしまい、反対する気持ちは徐々に薄れてきたように思いました。
その矢先、大問題が発生しました。我が家はこの年(平成7年)に新築したばかりでしたが、ムサシのやんちゃぶりは目にあまり、家中の家具という家具をカジリまくり、引っかきまくり始めたのです。私は主に自宅で仕事をしていますので、この調子で振舞われたのでは仕事に支障をきたすと思い、何か対策を採らなければと考えました。
さんざん思い悩んだ挙句、彼をわが家の住人と認めてしまった以上、何とかうまく付き合うしかないという結論に達し、彼を理解することに力を注ぎました。そのせいではないと思いますが、彼の傍若無人ぶりは間もなく納まり、おまけに、四六時中家にいる私を慕うようになり、私が面倒を見る羽目になってしまいました。
このシリーズは原則毎週2回、木曜と日曜日に投稿することに変更しました。