生誕60年を迎えた仙台の牛タン
牛タン焼き専門店が仙台に誕生したのは1948年(昭和23年)のことです。フランス人シェフから牛タンのおいしさを教わった太助初代の佐野啓四郎氏が、屋台で焼き鳥のメニューとして牛タンやテールを出したのが始まりとされています。当時は牛タンといえば、タンシチュウなどの高級洋食メニューでしか味わえなかったが、それを庶民が手軽に味わえるものに育てたわけですね。
お客様を満腹にしたいという思いから、佐野氏が考え出したのが「牛タン焼き」「テールスープ」「麦ご飯」3点セットの牛タン定食です。タン焼きは塩、胡椒で味付けするだけのシンプルなもの、スープも同じ塩味でテールを長時間煮込み、すませたものに長ネギをいれるというこれまたシンプル、これに麦ご飯という取り合わせだが、塩と胡椒の絶妙のバランスが何ともいえない。
おいしさの秘密はもう一つあるといことですが、それは炭火だということです。強めの火力で片面ずつ炙れば、遠赤外線を多く含む放射熱で均一に熱が伝わり、旨みを内部に閉じ込めるため、高たんぱく、低カロリー、鉄分豊富なタン焼きを柔らかくジューシーに仕上がる。そのとき脂肪が炭火に落ちて焼け、燻蒸効果を高めてより一層食欲をそそるというわけです。