がん哲学外来とはどんなものか
順天堂大付属順天堂医院で、1月末から試験的に開かれた「がん哲学外来」が、今月16日に終了したという記事が3月23日の読売新聞に載っていました。発案者は樋野興夫・同大学教授(病理学)が、5日間で患者・家族ら計55人と面談したが、キャンセル待ちが出るほどの盛況だったという。一体「がん哲学外来」とはどんなものなのだろうか。
樋野教授によれば、受診者に「何で来たのですか?」と聞いたところ、その問いに誰もが表情を和らげ、自分の症状や治療法に関する相談を始めたという。助言をしながらじっくりと耳を傾けるうちに、大半の人が「限られた時間をどう生きればいいのか」など、生きることの根源的意味について話したそうである。
大切なのは、患者が「医師が自分に向き合ってくれている」と感じて、安心できること。そんな考えを基本に、がんをテーマに患者と人生を語り合うのが「哲学外来」のポイントらしいということだ。樋野教授によれば「人間誰しも、自分の存在に意味を感じられれば、例え病気を抱えていても、残された人生を前向きに捉えられる。今の時代、こんな“おせっかい”が必要だとのこと。