国の宝を守る妙案はないものでしょうか?
読売新聞のニュースウィークリー(4月6日)欄に、「運慶の仏像流出騒動」という興味深い記述が載っていました。その内容は、鎌倉時代初期の仏師である運慶作の仏像(大日如来坐像)がアメリカで開かれたオークションにかけられ、危うく海外に流出しそうになったということですが、日本の宗教団体が約14億3700万円で競り落としたということです。
この落札価格が高いのか安いのかは、私どものような門外漢にはとんと計りかねますが、重要文化財ないし国宝級というこの仏像を、そう簡単に国外に流出してもよいものでしょうか?しかし、国が所有者である個人から買い取るにしても、値段が折り合わなければ、購入を希望する第三者に売り渡されたとしても仕方のないことであります。
確かに理屈はそうなのですが、文化財保護法なる法律が不備であることも、国宝級が簡単にそうした危機にさらされる原因ではないでしょうか。慎重な審査は不可欠であるとしても、ただ重要文化財だから輸出をしてはいけないという、通り一遍の規制ではなく、所有者の権利を保護する施策もセットされていなければ、同じことが繰り返されないという保証はありません。