平孝酒造の「日高見」
石巻市の平孝酒造が生んだヒット商品「日高見」は、激しい価格競争で経営が圧迫されていた中小メーカーの生き残りをかけて、全国にアピールできる銘柄としておよそ20年前に誕生しました。銘柄名はその昔、東方にあるとされた豊な国「日高見国」の伝説にあやかって命名されたということです。その名も「日高見 純米」と「日高見 純米吟醸」です。
酒造りは「透明感のある、きれいな酒」にあるとして、原料(米)処理に最も重点をおきながらも、軽やかな口あたりと華やかな香りが印象的な酒に仕上げている。それが、女性や若者、そして幅広い世代に好まれている秘密でもあるようです。真面目な酒造りをめざしつつ、ユーモラスなアイデァを次々に形にしていく。
自分が蔵に戻った当時は、日本酒の価格破壊時代で、蔵では「新関」(普通酒)という銘柄を造っていたころで、よい酒を造ってみても売れなかった。地酒はその土地の個性がないと生きていけない。石巻は魚のおいしいまちです。だからこそ、魚でやるなら「日高見」だ!といってもらえる酒を造ろうと思った。当時をそう振り返るのは、2001年に平孝酒造5代目社長に就任した平井孝浩氏です。