お父さん達の受験戦争
少子化の影響で一頃のような受験戦争はなくなったのかと思っていましたが、どうやら認識が甘かったようです。確かに競争率は低下しているものの、親の気持ちはかなり複雑のようです。先日の国公立大学の試験日に、受験生の親と思われる一人の男性が当店に立ち寄られました。聞いてみると案の定、息子さんの受験のためはるばると遠方からやってきたというのです。
合格するといいですね!といったら、いや、今回は不合格の方がいいんだというのです。何か特別な事情があるかと思って、“何故ですか”とはいいませんでしたが、そのお父さんが言うには、地元にも大学があるので、できればそちらに入ってもらいたいというのです。そうすれば自宅から通学できるので、経済的に助かるということのようです。
本音であることが窺われただけに、応じる言葉が見つかりませんでしたが、それでも心の片隅では合格を願っているのではと思い、帰り際に、息子さん頑張ってくれるといいですね!と声をかけたらにっこりと頷いていらっしゃいました。お買い上げ頂いた笹かまぼこを片手に車に乗り込まれた姿は、不合格を願っているようには見えませんでした。