伊達藩の御用蔵を務めた勝山
自社水田で作った酒米(山酒四号)で仕込んだ「撰勝山」は、うまみ重視の芳醇な味わいに仕上がっている特別純米酒である。もう一つのブランド「献勝山」は、「客人と楽しい夜を過ごす時に、飲み飽きない酒が欲しい」と考えた11代蔵元が杜氏に命じて醸したお酒で淡麗辛口である。現在は2年前に蔵移転と同時に杜氏に就任した後藤光昭氏によって支えられている。
仙台市内北部の自然豊な移転先は、高品質の酒造りを信条にした杜氏と8人の社員が醸造に取り組める環境が整っていて、年間約800石(140 kl)出荷している。「300年という勝山の伝統の重さは感じていますが、今は何もかも新鮮で楽しくて仕方がない」という32歳の若き杜氏の手は、配合、機械の設定管理、細部作業、五感チェックまで、あらゆるところまで及んでいるようです。
作業は正社員とパート社員を含め15人で行っている。「これまでの杜氏は、一般的に言って蔵人の中で絶対的な存在でしたが、大手蔵元で既に始まっているように、将来的にはチーム制が浸透していくでしょう。うちでもああでもない、こうでもないと、みんなで意見を言いながら造っています」。近年は高級酒と手ごろな日本酒の二極化が進んでいると分析した上で、トップブランドと認められる酒造りを目指すという。