塩竈・金谷豆腐店(その3)
大量生産の大きな豆腐屋がどんどん入ってきて、戦後塩竈に60軒あった豆腐店は、今では5軒になってしまったそうです。それでも「地元のものを使い、手作りの本物の味を知ってもらい、本物の食文化を受け継いでいきたい」という徳雄さんの想いは健在です。輸入大豆は独特の臭いが残るし日持ちもしない。それに燃料などの輸送コストも高くつく。
それよりも地元にある、人の手をかけて育てられた安全でおいしいものを食べてもらいたいと考えています。いまでは、豆腐の作られる工程がわからない若いお母さん方が多くなってきています。そのため、徳雄さんは学校の体験学習の授業で、小さい子供から大人まで豆腐作りを教える取り組みをしているそうです。
「宮城県の豆腐屋ががんばり、宮城県のおいしい豆を使って作った栄養価が高い豆腐を、たくさんの人に気軽に食べてもらい、元気になって欲しい。」という、徳雄さんの食文化を愛する想いが込められています。毎日同じようにつくっていても、微妙な加減で仕上がりに差が出る。そのため長年の経験を頼りに試行錯誤を続ける日々のようです。