塩竈神社の塩竈桜
塩竈神社の境内では、国の天然記念物に指定されている塩竈桜27本をはじめ、ソメイヨシノや一重、八重咲きのシダレザクラなど200本余が春を彩ります。現在は40年ほどのものが多く見られます。塩竈桜はヤエザクラの一種で、その特徴は、めしべが変化して2枚か3枚の青い葉となり、花軸が短く、花べんは30ないし50枚位で縦じわがあり、先端が2ないし5のノコギリ状になっています。
塩竈桜は境内の桜の中では花期が最も遅く、5月初旬に開花します。「塩竈」なる桜は、堀河上皇の御製にその名が見られることから、平安時代には成立していたと考えられます。また、江戸時代には井原西鶴の小説や近松門左衛門の戯曲にも登場するほど知名度の高いものだったようですが、現在でもその人気は衰えていません。
古来著名な品種として昭和15年に天然記念物に指定されましたが、単木の高齢木であったためその後枯死してしまい、昭和34年に一時指定解除されました。しかし、塩竈神社では、この桜の苗木育成に努め、境内に植栽して保存してきました。数多くの桜のうち、古くから広く知られており、学術・文化両面でその価値は高いということです。