塩竈・金谷豆腐店(その1)
創業58年という金谷豆腐店では、販売している豆腐は約10種類。やわらかな豆腐は、豆本来の甘さが口いっぱいに広がります。豆腐よりもやや黄みを帯びた湯葉は、濃厚なのに優しくとろけるようです。そして、豆乳は豆の青臭さは全くなく、豆の旨味だけがぎっしりと凝縮されていますし、油揚は外がカラッとしていて、中がふんわりやわらかです。
どれも風味豊かで感動しますが、それを金谷豆腐店では一つひとつ昔ながらの製法で、大事につくっています。豆腐の原料となるのは大豆に、水、にがりです。大豆は宮城県産のミヤギシロメを、水は自噴した地下水を汲み上げて使用しています。にがりは石のように硬い岩塩を砕きここで手作りされているということです。
岩塩をなめてみると、苦いだけではなく複雑な味がしますが、豆腐になると、この苦味が甘みに変わるというから不思議ですね。豆の味を引き出してくれるこのにがりに、2代目店主である金谷徳雄さんは、昭和20年代にはじめてから、もっと良いものはないかと調べ続け、45年かけて試行錯誤し、1年前にやっと今のものに辿りつきました。