ムサシのプライド
わが家のムサシは、褒められるのが大好きでしたが、「お手」などといった単純な要求には、あまり積極的には応じる姿勢はなく、そんなことで褒められてもあまり嬉しくないといった様子でした。しかし、全く拒否しているという態度ではなく、要求している相手の本気度によって対応を決めているといった感じでした。
私も最初はそうでしたが、子供たちや孫たちも素直に応じてくれるのが嬉しくて、何度も同じ要求を繰り返していました。そんな時、ムサシは褒められてもあまり嬉しそうな表情はしません。心なしか、こんなことをさせて何がそんなに面白いのか?と思っているようにも見えました。ムサシは多分すごいスピードで成長していたためなのでしょう。
そのことに家族みんなが気付き、誰も単純な動作を要求するようなことはしなくなったのですが、家族以外のリップサービスには笑顔で応えていました。大人になったムサシは、家族の中で自分がどのような役割を果たすべきかを常に考えていたのです。そんな志の高さゆえ、「あんたは食べて寝ているだけでいいね!」などという他人の嫌味にも、「ボクだって結構大変なんだよ!」とは決して反論はしませんでした。