勝手な想像(その1)
もうかれこれ7、8年も前のことになるでしょうか。季節は確か今頃だったと思うのですが、何時ものようにムサシと散歩に出かけました。その日は裏の港公園から山越えするコースで、ちょうどレオ君お気に入りのルートと同じですが、山の頂上に差しかかりあと数十メートルで下りの階段になるという場所を歩いている時でした。
まわりには人影もないので、ムサシをできるだけ自由にしてあげようと思い、手を伸ばしてリードをもっていたので、すぐには気がつかなかったのですが、ムサシが前へ進まなくなったので、不思議に思いどうかしたのか!と声をかけながら彼を見ると、何か草むらで動いているものを前足でいじりまわしているようなのです。
よく見るとそれは、飛ぶことができなくなっている小鳥でした。とっさに"いじめてはだめ"と叫んだが、どうやら彼としてはその小鳥を介抱しているようでした。声は出しませんでしたが、"おいだいじょうぶか"と声をかけていたに違いありません。小鳥はその激励に応えたのか、態勢を立て直し空高く舞い上がりました。