別説「はっと」伝説
先日、登米の「はっと」についてお話させていただきましたが、「はっと」のルーツはまさに多様で、偏った情報では申し訳ないと考え、またしても登場させていただくことにしました。「はっと」は県北一帯で食べられてきた小麦粉を使った代表的な郷土食です。その名は、地域によって様々で、栗原、登米地方では「はっと」「はっとう」、玉造地方では「つめいり」「つみれ」、その他の地方では「ひっつみ」「とってなげ」、濁って「ばっと」ともいう。
「はっと」の名の由来はいろいろな説がありますが、その一つは、昔、凶作の調査に訪れた藩の役人に、はっとを差し上げたところ、あまりにうまかったので、役人は「普段の日には食べてはならぬ。ハレの日に限って食べてよい」と言い渡した。つまり、ご法度から付いたという説です。また、昔、そば好きの殿様が庶民にそば切りを禁じた。それならと手で伸ばしたそば粉のはっとを食べ、ご法度を逃れたので名づけられたという説。
もう一つは小麦粉を練って伸ばして煮たものを餺飥と言い、音読みで「ほうとう」。これが「はっとう」「はっと」となり、うどんの元祖と言われています。さらに「はっと」を「八斗」と書き、五斗俵の小麦を製粉すると粉が五斗、ふすま(小麦の皮)が三斗、合わせて八斗できる。これを八斗挽きと呼び、この粉を八斗粉という。それで作ったものだから「はっと」となったとの説もある。