可愛さと責任の狭間で
レオ君のことを思うと、彼を引き取って手元に置きたいとい気持ちはありますが、はたして彼の将来にとって、本当にハッピーなことなのかどうかを考えると、軽々には決めることはできません。やはり今のご主人のもとで暮らすのが、彼にとって一番幸せであるはずだと思うからです。せめてみんなで話し合い、応分の協力ができないものなのでしょうか。
レオ君もムサシと同じで中々利発ですし、少し慣れれば行動を制御するのもそう難しくはなさそうなのですが、ただ可愛いといった一時の感情だけで、引き取るというのは、かえって彼の尊厳を傷つけることにもなりかねません。この思いは、私たち以上にいつも面倒見ていてくれている親切なお姉さんの方が一層そう思っていることでしょう。
人それぞれ事情があるとは言いながら、可愛いレオ君を前にすると、何もできないなどというのはただの言い訳に過ぎないような気がしてとても情けない。そんな思いを引きずりながら、後ろ髪をひかれる思いで引き上げてきました。この複雑な思いを熟知しているだけに、ムサシも敢えて積極的には意見を言ってくれません。