丹六園の「志ほがま」
歴史ある佇まいを感じさせる丹六園は、1720年に廻船問屋として創業した老舗です。時代の移り変わりとともに商売変えをしてきましたが、昭和に入って先代が丹六園の本家で仙台藩の御用菓子商だった古梅園の藻塩糖という菓子を復活させました。
これが今に伝わる「志ほがま」というわけです。藻塩焼き神事に因んだ軟落雁です。もち米の芯の部分だけを使った粉に、特注の精製上白糖、精製塩を入れた塩水、じゅうねん(エゴマ)と青紫蘇を掛け合わせた珍しい紫蘇を乾燥させたものを混ぜ合わせ、型に入れて押し固めるという作り方です。11代店主六衛門さんは、その日によって作り方を変える。
「その日の湿度によって、粉が型に入れる前に固まってしまわないように、塩水の量を加減するのが難しいところです。勘を大切にして、自分なりの味を作ってきました」と話しています。手で割った「志ほがま」を口に入れると、ゆっくり溶けながら、米の甘さとあっさりした塩味が広がります。シンプルで上品な味はあきが来ません。