ムサシのため息
今日はことのほか天気がよく、穏やかな秋晴れに恵まれたせいか、ムサシも何時になく心がはずんでいる様子です。もともと褒められることが大好きで、そのためには多少の苦労は厭わないというのがムサシらしさなのですが、レオ君という後輩の面倒を一緒に見ることになったため、一層やりがいを感じているのでしょう。
しかし、そうした充実感とは別に、少し目が潤んでいるようにも感じられたので、久しぶりに仕事の手を止めムサシと向き合うことにしました。というのは、私にも多少気がかりなある事があったからです。それはあの「ポチ君」のその後のことです。おそるおそる聞いてみるとやっぱりそうでした。「ポチ君」のことを気にしていたのでした。
実は家内もポチ君の消息を求めて、以前よく出会った場所付近をそれとなく巡回していたのですが、出会うことができなかったのです。ムサシよりも高齢だったので、もしやと思いながらも、意識してその話には触れないようにしていました。ムサシもそのことは承知していたはずですが、友達と会いたいという気持ちを抑えきれなかったのでしょう。