ちょっぴり羨ましい散歩
ムサシが旅立って以来、散歩のスタイルは少し変わりましたが、いつも彼と一緒であることだけは同じです。ちょっと意識して、頭の中のスクリーンに再現させようと思うと、いつでも鮮明にムサシの表情が映し出されるので、特に淋しいと思うことなどありませんが、他のワンちゃんの散歩を見ると、ちょっぴり羨ましくなることもあります。
ムサシにとっても私たちにとっても、現状に何ら不満があるわけではなく、むしろ、理想的な形になったと思っているくらいですが、つい欲を出してしまうことがあり、ムサシに注意されることがあります。もちろん、頭では納得しているはずなのですが、やはり本音を言えば、もう少し長く彼をこの世に留めておきたかったのです。
ムサシにしてみれば、絶妙なタイミングで自分の身を律し、私たちの余生にエールを送ったつもりなのでしょうが、素直に感謝する気になれないのがふがいない気がしています。こんなとり留めのない話をしていると、またムサシに一喝されそうですが、喜びと悲しみが入り混じっているわりには、心が和むというのは何とも不思議です。