ムサシとの会話
ムサシと会話するときは、いつも穏やか気分になっている時です。天国との距離はどのぐらいあるのか分かりませんが、少なくとも私たちと会話をするときは、携帯電話などを使わなくても直接話せる距離に彼はいます。そればかりか、顔の表情も体のぬくもりも以前と全く変わりません。わが家にとって彼の存在は永遠なのです。
会話はいつも私が一方的に話しかけるというスタイルですが、いつでも笑顔で応じてくれます。あまりの愚問に対しては、少しあきれ顔で黙り込んでしまうこともありますが、ほとんどの場合、誠実で的確な答えを返してくれますので、とても頼りにしています。特に仲間のワンちゃんたちのことになると身を乗り出して熱弁を振るいます。
盲導犬の勤勉さの秘密やその後の余生の過ごし方などについても、なるほどと感心させられることが多く、大変参考になることばかりです。不満だらけで愚痴っぽく、いつも誰かに責任を転嫁している我々人間の浅はかさを、決して嘆いたり批判したりすることなく、すべてを受け入れる寛容の精神にはいつも胸を打たれます。