ムサシの笑顔
ワンちゃんの面倒を見てくれる女性のことをムサシに話したところ、ムサシもよく知っている女性だったので、懐かしそうにうなずいていました。孤独なワンちゃんの姿やご飯をもらって喜んでいる顔を想像すると、どうしてもわが家のムサシとダブってしまいがちですが、いずれにしても久しぶりのホットな話題に沸きました。
ムサシも淋しかったことはないわけではないのでしょうが、そのことには触れず、嬉しいときにだけ全身で喜びを表現します。恨み言を決して言わないムサシに、私たちは救われたことは確かですが、その分思いやる心が希薄になっていなかったかと悔やまれます。なにしろ、よそのワンちゃんの話をわがことのように喜べるとは想像も出来なかったかです。
ムサシを護りきることが私たちの使命と考えていたのですが、如何に浅はかであったかがよく解かるようになりました。ムサシが本当に心から喜べるのは、ワンちゃんたちに対する人間の偏見がなくなったときかもしれません。いまは、そんな時が来るのかどうかわかりませんが、ムサシの笑顔が目に浮かぶと、又一歩ワンちゃんたちに近づけた気がします。