暴漢に襲われたムサシ
彼との楽しい日々が続いたある日のこと、すっかりコミュニケーションが取れるようになったという安心からでしょうか。いつものように公園に出かけましたが、早朝であることもあり油断してムサシの首からリードを離してしまいました。誰もいないのでのんびりと自由に遊ばせてやりたかったからです。それが一生の不覚でした。
どこからともなく、ムサシの倍もあろかというシェパードが飛び出してきて、いきなりムサシの背中に噛み付いたのです。幸いたいした傷は負いませんでしたが、相手の飼い主の言葉が許せなかったのです。お互いに離したのだから痛みわけだというようなことを言ったからです。私は烈火のごとく怒り相手の飼い主ばかりか犬にまでも噛み付く勢いでした。
この時ふと思ったのですが、何故ムサシは私の陰に隠れようとしなかったのだろうか?頼りにならないと考えたのか、それとも、私に危険がおよぶと考えそれを避けようとしたのか?彼に何度も聞いてみたのですが、未だに答えてくれません。それはともかく、その後、件のシェパードの飼い主はムサシには決して近づかないようになりました。