鮨かなや
江戸前鮨の華は何と言ってもマグロでしょう。如何によいマグロを仕入れるかによって店の格が決まるといっても過言ではないかも知れません。カウターに現れたのは200?超の石巻産の本マグロ。親方曰く、「大間のマグロが有名ですが、今年は宮城県の近海ものもいい。酸味と深みのバランス、マグロ本来の香りを楽しんでもらえば」。
旨みが凝縮した漬けマグロ、清々しい香りを軽やかな脂の甘みが包みこむ極上のトロ。旬のマグロと熟練の技が生み出す至福のひと時を堪能したいものです。「おまかせコース」は8000円からで予約が必要です。濃厚な白子が口の中でとろける「白子のソテー バルサミコソース」も中々のもので、フアンにはたまらない逸品です。
締める、煮る、漬ける、炙る、江戸前鮨の醍醐味ともいえる手間暇かけた仕事は、冷蔵庫のない時代に培われた日本の食文化を忠実に伝える店です。「魚の顔を見て、如何に旨みを引き出すかが要」とも話す親方の真骨頂が、豊かな香りとシャリとの一体感をより心地よく感じさせてくれます。次々と繰り出される多彩な技は魚を知りつくした証でしょう。