鳴子温泉の誇り?その6
旅館大沼からJR鳴子御殿湯駅をはさんだ東側には、「黒湯」で知られる「高友旅館」があります。泉質は硫黄を含む重曹泉なのですが、多くの成分が複雑に溶け込んだ、極めて濃密湯と言えるでしょう。浴室のいたるところに、スケールと呼ばれる析出成分が石化して堆積しているため、油臭や鉱物臭を含んだ独特の硫黄臭がします。
この独特の臭いがまた、温泉の力強さの源のように感じさせられるから不思議ですよね。鳴子に多い硫黄の湯は、余分な皮脂を取り除き、古い角質のメラミンを落とすとされ、「美白の湯」とも呼ばれています。温泉宿には、古びた風呂も多いのですが、湯口から源泉が注がれ、本物の色と成分を持った湯が浴槽から溢れ出る姿は圧巻そのものです。
湯の花が浮かび、スケールが付着した湯船や洗い場は、いっそう温泉らしい風情が感じられ、本物とはこうしたものだと納得してしまいます。近年露天風呂が一種のブームになっているようですが、温泉の底力を存分に堪能するには、やはり内風呂だというフアンも多いのではないでしょうか。もちろん、露天風呂の開放感も捨てがたいのも当然のことです。