ムサシの自慢
ムサシは散歩の途中で友達の家を次々に訪れるのが習慣になっていました。特別何をするしいうのではなく、ただ挨拶を交わす程度なのですが、相手が気付いてくれるまでその場に留まりエールを贈り続けますが、友達が“もう少しゆっくりして行けよ”と言っているにも関わらず、さっさと引き上げるという態度が少し気になったものです。
しかし、今にして思えば、私への気遣いではなかったかと思われる節があります。それは、友達との会話が弾むとご近所に迷惑だと思って、早々に立ち去るようにしていたのかもしれません。というより、私がそう思っているに違いないという思いから、敢えて挨拶だけにとどめるよう気配りしていたのかもしれません。
始めは、わが家における自分の処遇を自慢するために、わざわざ友達の家を回ってお騒がせをしていたように見えたので、私としてはあまり友達を刺激したくなかったのです。ところがムサシが本当に自慢したかったのは私のことだったのかもしれません。これを友達に伝えることで、相棒との絆の強さをアピールしていたのでは?とも考えてみました。