ムサシに謝りたいこと?その1
ムサシに謝りたいことは数限りないが、そのなかでも特に謝りたいのは、彼の能力を過小に評価していたことです。私が数年前2週間ほど入院していたとき、なるべくムサシを病院には連れてこないように話しておりました。会うと別れが辛くなるということもありましたが、病院の敷地内でムサシが大きな声を出すのではと危惧したからです。
と言うのも、普段私が外出先から帰ると、大きな声で出迎えてくれたからです。私の予想では、病院に見舞いに来れば、同じように大きな声であえた嬉しさを表現するに違いないと思ったからです。しかし、病院で私を見つけても黙って近づいてくるだけで、声は一切ださないのです。家内にそのことを聞くと、特にムサシに注意を促してはいないようです。
謝らなければならないというのはこの点についてです。ムサシは誰に指摘されるまでもなく、ここは大きな声を出してはいけない場所であることを知っているかのようでした。というよりは、誰よりもそのことを知っていたと改めて感じたからです。その証拠に、退院して家に帰ると大きな声で歓迎してくれたからです。