野菜に埋もれたタンメン?その2
中華料理店「大王」は、立地条件に恵まれているとはいえ、店構えは至ってシンプルで、道路からカウンター内で調理している様子が見えるくらい開放的です。最も、締め切ったままでは例のブツブツは少し重く感じるかもしれませんが、昼時ともなると三々五々お客様が集まり、あっという間に満席になってしまいます。
調理場のメンバーや出前係りも高齢者でしかも殆どが女性です。確かに昔は若かったのだろうと思わせる素振りもないわけではありません。例えば、鉢巻ともバンダナともつかない布切れが妙にチャーミングだったりするからです。それはともかく何しろ豪快で男らしいいでたちで重いフライパンを操っている姿は頼もしい限りです。
ごたぶんに漏れず商店街が地盤沈下しているなか、ここだけは街中の顧客を独り占めにしているように賑わっているのがうらやましい。たぶん今日もあのブツブツを子守唄かBGMのように聞きながら、麺をすすっているお客様で満員になっていることでしょう。わたしも、もう一度彼女たちの特殊な会話を聞くため、タンメンを注文したくなりました。