ムサシは全ておみとおし
ムサシは気が向くと昼間でも、ひとりで二階に上りくつろぐこともあります。もちろんわたしが外出しないことを熟知しているからなのですが、ここぞとばかり、つまみ食いをしようとすると、必ず彼に見つかってしまいます。もちろん、内緒にしたいのには訳があってのことなのですが、とにかく抜け駆けは絶対許さないのです。
こちらの意図は、食べ過ぎるとムサシの体に悪いので、なるべく悟られないようにしようしているのですが、それでは納得しないのです。しかし、不思議なことに、かなりの距離があるのにどうしてバレルのか不思議でしょうがありません。これは、嗅覚が優れているといった単純な理由ではなさそうです。
かなり後になって気がついたのですが、これは自分が食べたかったのではなく、わたしを監視していたのでした。つまり、食べ過ぎに注意しなければならなかったのは、むしろわたしの方で、ムサシはそれを監視していたというわけです。それにしては、自分もおすそわけにあずかるというのは多少気になるところですが?