お蔭様で無事帰還
ムサシの声援のおかげでトレーニングを続けたのが良かったのか、晴天にも恵まれたことで何とか登頂にも成功し3日後に無事帰還しました。あんなに苦しかったのだから、すこしはねぎらいの言葉ぐらいあっても不思議ではないと思うのですが、顔を見るなり、“そんなバカなことを二度とやめなさいよ”という厳しい出迎えでした。
家族だけならいざ知らず、ムサシまでもあまり快く思っていないようです。これは家族がわたしの留守中に、危険だとか疲れるなどのマイナーな言葉を毎日聞かせたせいではないかと勘ぐりました。しかし、ムサシはそんな了見の狭いワンちゃんではありません。その証拠は、ベッドにもぐり込んで寝るときにすぐ解かりました。
それはわたしの心の問題だったのです。元々山登りなど大嫌いなのに、このトシになってわざわざ富士登山を試みるなど、誰よりも自分が許せなかったからです。事実、富士山頂で見た御来光にも全く感動しませんでしたし、早く帰ること意外に目的はなかったで、ムサシも家族もそのことをよく知っていため、特に話題にしなかっただけなのでした。