遊びの達人ムサシ
この頃のムサシは散歩に連れ出すと、門の外で少し立ち止まり、散歩のコースを決めているようでした。左へ行くと街の方を目指すことになるが、右へ行くときは「クリスビー」や「ボール遊び」がしたいときである。「ムサシ」と家内が名づけただけあって、どの遊びも器用にこなしたが、家に帰っても綱引きをするようせがむなど多彩な遊び人(犬)であった。
彼と遊ぶことは楽しいけれど、仕事をしなければならないので、適当に切り上げたいのだが決して許してくれない。時には、いい加減にしなさいと叱ったりもしたが、全く意に解さず、仕事をしている私の机の下にもぐりこみ、盛んにおねだりをするという具合であった。それがまた、より一層私を彼のファンにしてしまったのである。
そんなわけで、遊びの合間に仕事をするという、極めて優雅な生活習慣が身につき、人もうらやむ「散歩おじさん」に変身したのである。しかし、忙中閑ありというのはこういうことをいうのでしょうか。何時しか彼と付き合う時間を捻出するために、仕事を効率的にこなすテクニックが身についていったような気がします。