思わず躍り上がったあの日
多少は正気を取り戻した日々が過ごせるようになったある日、訓練所に電話してみたところ、今日はテストの日なのでこっそり覗きに来ないかといわれ、仕事をキャンセルして飛んで行きました。ただし、彼に気づかれるとテストが台無しになってしまうので、あくまで遠くから見るだけですよと、念を押されていました。
まるでこそ泥みたいな恰好で物陰から見ていると、やがて彼の番が回ってきたようで、固唾を呑んで見ていると、間もなく終了したとのことで、彼に面会できることになりました。そこで訓練士が私たち告げたことに飛び上がって喜びました。「実は今日のテストは最終のもので、これをクリアーしたので、本日ですべての訓練は終了した」とのことでした。
さらに詳しく話を聞くと、ムサシの点数は98点ということでした。このマイナス2点は、私たちの存在に気づき、一瞬よそ見をしたためということでした。予定より2ヶ月も早く訓練が終了したという喜びよりも、今日ムサシをつれて帰れるという喜びの方が100倍も勝っていたことを今でもはっきり覚えています。