同じ悲しみを再現する結果に
その日(面会の日)は晴天で、夏の盛りはとっくに過ぎたというのに暑い日でした。朝からそわそわしながら、前日に買い揃えたササミジャキーをどっさり車に積み込み、古川に向けて出発しました。このササミジャキーはむさしの大好物なのですが、他のワンちゃんたちにも食べてもらおうと思い、特別多く買い込んだものでした。
訓練所に着くと、私たちを見つけた彼は、ちぎれるばかりに尻尾を振りながら飛んできました。その後涼しい木陰で、持参したおにぎりを食べながら、数時間彼と一緒にすごすことができたのですが、やがて、また別れの時間がやってきました。彼を預けたときよりは多少冷静でいられるかと思ったら、とんでもない勘違いでした。
私たちが悲しい思いをすることもさることながら、彼を苦しめることがいたたまらなかったのです。そこで次の面会の日には、夜こっそりと覗くだけにしようと心に誓い出かけたこともありました。それでも鼻の利く彼には、頭かくして尻隠さずだったようで、結局見つかってしまい、夜這い作戦も見事に失敗してしまいました。