阿部八酒店(その2)
穀田さんが「自分と同世代の方が前向きに取り組んでいるところ」に拘るのには分けがある。実は、15年ほど前に「十四代」に出会ったのがきっかけという。「こんなに旨い酒を作るのはどんな蔵だろう」と、すぐに蔵元に足を運んだところ、造り手の若さにまた衝撃を受けた。「ぜひ、この酒を扱いたい。そして店を継ごう」と決めたという。
日頃から、しっかり売って蔵元さんに還元しなくてはならないというのが信条で、「そのためには、自分が商品に惚れこまないといけないので、しっかりと酒を選び抜きます」。売れ筋を伺うと、「伝酒」「十四代」「飛露喜」の3種は不動の地位とのことだが、それ以外で、いま飲みごろの地酒は、加美町の「山和(やまわ)」、福島・田村市の「あぶくま」、天童市の「山形政宗」などで、これらはいずれも若手醸造元が真摯に取り組んでいるところ。
また、人気銘柄でも、一迫「綿屋」の大吟醸や特別本醸造「華」、塩釜「阿部勘」の大吟醸、村田「乾坤一」中取り純米大吟醸は、お正月におすすめとか。さらに、各蔵とも新種の蔵出しも始まって楽しみだとも言っています。「地酒も進化しています。造る現場と消費の現場を見据え、双方のよりよい状況を目指したいですね。東北発のリキュールにもまだまだ期待しています」とのことでした。