七ヶ宿町横川地区の「川端」
紅葉が美しいことで有名な横川渓谷。ここ横川地区には、七ヶ宿の美しい山の水を活かした伝統の暮らしぶりが息づいている。各家の前には豊かな湧き水を引き込んだ水路があります。その流れをまたぐように「川端」と呼ばれる作業小屋が建てられており、その中で女性たちは、収穫した野菜の泥を流したり、漬けものを漬けたり、とってきた山菜を処理したりしてきました。
夏には食べ物を冷やすことにも、この水を使われています。七ヶ宿でも比較的雪の少ない横川地区では、水路の上に別棟の「川端」を建てるが、雪の深い湯原地区では、かつて母屋に水を引き込んでいたということです。各集落に水のある七ヶ宿ならではの暮らしですね。集落に2本の水路が流れているところでは、1本は取水に、もう1本は排水専門に使われているのだそうです。
水の故郷に住む人たちは、隣の家の川端を流れる水を汚さないように気を使いながら作業をします。水源地七ヶ宿に生きる人たちは、一人ひとりが水を愛する守り人なのです。気候の良い時期には、ひと仕事を終えた女性たちが、一つの「川端」に集まり、自分の漬けものを持ち寄って食べ比べしながら、お茶のみ話に花を咲かせます。秋の小春日和には、さらさらと流れる水の音にまじって、「川端」の中から朗らかな声が響いてきます。