ムサシの寝息は子守歌
幸せの形は人それぞれで、どんな形が理想的かなどと考えるのは全く無意味ですね。そうはいっても、私たち庶民にとってどんな時が幸せかというと、やはり布団に入ってぐっすり眠る時ではないでしょうか。私の場合も基本的にはそうなのですが、少し変わっているのではないか思っていることがあります。それはムサシの子守唄です。
子守唄といってもムサシが歌を歌うわけではなく、実は彼のイビキのような寝息がわが家の子守歌なのです。特に、仕事で遅く帰宅した時などは、待ちくたびれたとばかり、布団にもぐり込んだかと思うとすぐに始まりました。大きなため息と安心しきった寝息が何とも心地よく、ムサシにとっても幸せを感じる一時だった様な気がします。
私たちもまた、その寝息を聞くのが子守唄のようで、とても疲れが取れるような思いがしていました。柔らかいムサシの感触とこの寝息がセットで独占できることが、わが家の幸せだったに違いありません。誰に気兼ねをするわけでもなく、自然に身を任せてみんなで眠りにつくことの値打は、何ものにも代えがたいものでした。