ネコがきても三寸
「ネコがきても三寸」というのは、誰から教わった言葉だか忘れてしまいましたが、その意味はよく覚えています。冬場の暖房器具といえばコタツが主役だった時代に、例えネコが傍にきても、三寸ぐらいは場所を開けてあげなさいという気配りを教えた言葉です。昔の人はこんな表現で気配りの心を教えてくれたのですね。
ところで、わが家のムサシはそんな心を誰に習ったのでしょう。彼には家中のあらゆる場所に拠点がありましたが、それに飽き足らず玄関先で居眠りをすることもよくありました。そんな時、傍を通ると決まって通り道を明けてくれるのです。はじめは、身の危険を感じて体をかわしているのかと思っていたのですが、そうではありませんでした。
これは彼一流の気配りだったのです。別にどける必要がないと判断するときは、どっしりと腰を下ろし、私に体重をあずけてしまいます。例えば、布団の上で私の場所に陣取っているときなどは微動だにしません。この違は彼なりの判断基準に照らし合わせてのものだったのでしょう。今晩あたりその辺をじっくり聞いてみたいと思います。