気がつけば翁の顔
ムサシがわが家に来てから13年の月日が流れたが、毎日接していると気がつかないことが多々ある。眉毛やあごひげが白くなってきたことは認識しているし、動作が年々丸くなって円熟してきたことも知っているつもりである。私は写真というものは余り好きではないので、ムサシの写真もあまり撮らなかったような気がする。
しかし、よく捜してみると結構多く、若かりし頃のムサシに出会うと時間の重みを改めて感じさせられることがある。ムサシにとっては決して短い時間ではなかったのだと思うと、なんだか急に気持ち和みます。そんな気持ちで彼の顔を覗き込むと、一層穏やかで翁の顔そのものになっていることに気付かされました。
そんなムサシの表情に魅せられて、公園の芝生に座り込むムサシをカメラに収めました。家内はこの写真が気に入り、携帯電話の待受け画面にしています。私も当然そうしたいのですが、何故か踏み切れないのです。ともあれ、今はムサシの思いをできるだけ尊重し、じっくりと付き合うことに専念することにしています。