少し肩の荷が降りました
ムサシが息をひきとったのは、平成20年4月13日午前3時8分でした。夜が明けるまでの数時間は、一緒に私の布団のなかで一緒に過ごしました。そのためか体温は下がらず、いつもと変わらないスタイルで静かなひと時を共有することができ、少し薄めを開けて眠るムサシの顔も穏やかで、このまま時間が止まって欲しいと心から願いました。
朝になって、子供たちに知らせるとみんながとんできて、孫達もそれぞれの言葉を贈りましたが、「ムーちゃんさよなら」という言葉が胸に響き、とても耐えられなかったことが忘れられません。今では、このときの悲しみが深かった分だけ、これまで幸せだったのだと思えるようになりました。時間の経過とはそういうものなのでしょうか。
それでも、散歩をするときや車で移動するときなどは誰に遠慮がいるわけでもないので、ムサシとの会話が弾みます。特に布団に入って眠りにつくまでの数分間は、まさに至福のひと時で、浮世の垢を洗い流す最高に価値ある時間です。このとっておきの楽しみがあるから難しい仕事にも果敢に挑戦できるのだと感謝しています。