アワビの天ぷら
アワビは資源を守るため、旬の季節に限って数日間解禁される。この日は夜明けを待って一斉に船を出す。貴重な食材だけにどの舟も真剣そのもので漁に没頭する。鈎漁と呼ばれる独特の漁法は実に見事です。収穫量を決めるのは舟のこぎ手と鈎棹もちの相性にかかっているようです。何しろ鈎棹もちが頻繁に出す注文に対して、小まめに舟を移動させなければなりません。
当然のことながら、高度な手漕ぎ技術が要求されるので、ベテランであることが要求されますが、大抵はご夫婦や親子といったコンビが多いようです。船縁りにガラスの箱を浮かべて、岩にへばりついたアワビの内側に鈎棹の先端部分を差し込み、一気に引き剥がすという手法なので、一度失敗するとテコでも動かず、大変悔しい思いがするようです。
実は私も一度経験したことがあるのですが見事に失敗してしまい、力任せに引き上げたものですからたまりません。アワビの殻を破いてしまいました。地元の民宿などでは、こうして収穫したアワビを刺身や天ぷらにして食べさせてくれます。鮮度のいいアワビを天ぷらでいただくという贅沢には、そう度々お目にかかれませんからね。