昔話はつらい
家の中でムサシの話をするのは日常茶飯事ですし、当然幼いころの思い出に及ぶのも自然なことなのですが、よその人からムサシのことについて聞かれるのはとても耐えられません。朝に散歩していた時、昔近所に住んでいた人がワンちゃんを連れて散歩をしているのを見かけました。見ると懐かしいワンちゃんだったので思わず声をかけました。
ワンちゃんも私のことをよく覚えていたようで、懐かしそうにこちらを眺めていたのですが、飼い主のお母さんが、ムサシのことをあれこれ聞いてきました。「ムサシは私の心の中で生きています」と答えたいのですが、一般には通用するはずもないので、力なく本当のことを話すしかありませんでした。しかし、これにはまいりました。
ところで、このワンちゃんは確か以前にも登場したと思うのですが、ムサシのことがとてもお気に入りで、散歩の途中で見かけるとかなり遠くからでも寄ってきて、一通りパフォーマンスをするのでした。ムサシはというと、黙って見守っているだけで、かなりしつこくされても怒りだすことなどありませんでした。今日のところはワンちゃんに免じて帳消しにしたいと思った次第です。