大崎八幡宮の松焚祭
正月の松飾りや前年のお守りを火に焚き、新年への願いを託すどんと祭は、全国各地で行われますが、仙台市の大崎八幡宮の「松焚祭」は毎年10万人以上の参拝客が訪れる全国最大級のものです。厳寒のなか白鉢巻に白さらし、口には私語を慎むための「含み紙」をくわえ、右手には鐘左手には提灯をもって数千人が参拝します。
裸参りとしても有名な杜の都・仙台の冬の風物詩は、平成17年に仙台市の無形民俗文化財
に指定されています。三百年の歴史をもつこの「松焚祭」は、他地域では左義長(さぎちょう)、またはその火の勢いから「ドンド焼き」とも呼ばれているということですが、一月十四日の夜、近郷近在から持ち寄られた、門松、注連松、松飾りが炊きあげられます。
この火は正月の間に各家庭を訪れていた神々を送る「御神火」として、あたると心身が清められ、一年間無病息災・家内安全の御加護があると伝えられています。また、この御神火を目指して参拝する「裸祭」は、もともとは厳寒時に仕込みに入る酒杜氏が醸造安全・吟醸祈願のために参拝したのが始まりで、江戸時代中期には定着していたとされています。