登米・南三陸フェスティバル
登米市も東日本大震災では大きく被災しました。それでも内陸部に位置しているため、震災直後から沿岸部への支援拠点としての役割を果たすことになりました。南三陸町の人々の多くが隣接する登米市に避難し、仮設住宅に入りました。時間の経過とともに登米市で仕事を見つけ、家を建てたり、災害復興住宅に入居して定着した人もいます。隣町の住民同士がともに生活を支え、交流できる場として2012年7月、登米市の左沼にオープンしたのが「登米・南三陸フェスティバル」です。
農産物などの販売コーナー、レストラン、趣味の教室やコンサートなどを行うコミュニティスペースなどがあります。設立に奔走したのは登米市観光物産協会会長を務める阿部泰彦さんです。南三陸町出身でもあり、力が入った。「震災後、南三陸町の人は水産業を再開しても販路がないという状況でした。だったら店を作って登米で売ろうと。故郷への恩返しです。南三陸町から避難した人は自分の町のものが近くで買えると喜んでくれます。今は、誰もが気軽に訪れて、買い物や食事、おしゃべり、趣味を楽しむ場になっていますよ」。
広い物産販売コーナーには、登米産米や新鮮な野菜と果物、油麩などとともに南三陸のワカメや海苔、魚介の加工品(南三陸のカキ、ホタテ、タコの燻製)などが並び、海のものと里のものもあって買い物だけでも楽しい。レストランでは、登米の名物、油麩丼やはっと汁、登米産のトマトのアイスクリーム、ソフトクリームが味わえます。休むだけでもいい。壁に描かれた虹は、登米と南三陸町の虹の架け橋になるというシンボル。観光に出かけた時にちょっと寄って、架け橋の一人になってみてはいかがでしょうか。