あの日からもう6年
2時46分で止まったままの時計をなおしたのは、あれから何年後のことだったでしょうか。少なくとも、あの大震災の年ではなかったことは確かなのですが、全く思い出せません。人には、「忘れたいこと」「忘れてはいけないこと」「忘れられないこと」「忘れてしまったこと」などがあり、それぞれの重要度に応じて、頭の中で整理して記憶装置の中に仕舞い込んでいるのではないでしょうか。
また、私たちはよく、「忘れたこと」と「覚えていないこと」を混同したり、あるいは、敢えて使い分けることで弁解の手段にしたりします。しかし、どんなに言い訳しても、6年前のあの東日本大震災だけは、私たちの脳裏から離れることはないでしょう。地震や津波はそれまでにも何度となく経験してきましたが、あれほど巨大な津波を目の当たりにしたのは生まれて初めてでした。
6年という歳月は、決して短い時間ではありません。その時生まれた子供は小学校に入学し、高校2年生だった生徒は、大学を卒業し、この春には社会人として新たな一歩を踏み出す年齢になりました。その中には、大切な家族や家を失った若者もたくさんいることでしょう。それでもあの大震災の悲しみを教訓として、力強く歩き始めた頼もしい姿を見ると、思わずエールを送りたくなります。