ホヤの季節
今年もホヤの季節がやってきました。ホヤと一口に言っても、日本近海だけでもなんと300種類以上あるということですが、私たちがふだん口にするのは「マボヤ」で、幼生を牡蠣殻に付着させて育成された養殖ものですが、出荷できるサイズに成長するには3年ないし4年かかるため、この時期に出回っているものは震災後2年目に種付けされたものです。太り始めた3月から4月にかけて市場に出回りはじめ、甘みが増す6月から7月に食べごろを迎えます。
ホヤは、疲労回復や集中力を高める効果があるといわれるグリコーゲンが豊富で、牡蠣の2倍も含まれています。また、同じく疲労回復効果が高く、肝機能を高めてくれるタウリンも豊富です。近年は研究も進み、ホヤに含まれるプラズマローゲンという成分が、認知症予防に効果をもたらすことがわかってきました。食べられる部分に多く含まれ、EPAやDHAが結合していることで神経細胞の減少を抑える働きもあるということです。
このように栄養価も優れているうえ、何と、甘味、苦味、酸味、塩味、旨味の5つの味覚すべてを感じることができる唯一の食材がホヤです。生の食べ方が多いのも、この類まれなる味わいを楽しみたいからに他なりません。生はもちろん、天ぷらや味噌田楽などでも美味しくいただけます。主な産地は石巻、女川、志津川などです。また、ホヤの旨味を潮の香りとともに味わう「ホヤの潮汁」もお奨めの一品です。