考えてみれば不思議なこと
わが家のムサシが天国に旅立ってからもう7年も経ちました。その間、あの忌まわしい東日本大震災があり、世間の景色は一変してしまいました。私の中で唯一幸いだったと感じたことは、ムサシにあの修羅場を見せずに済んだことです。それでも、ムサシは私たち以上にあの惨状を観察していたようです。常に私と行動を共にしているのですから、当然と言えば当然なのでしょうが。
ところで、最近特に不思議に思うことがあります。それは、あれから7年も経ったのですから、私もものごとに対する考え方がかなり変わってきたはずです。ところが、毎日一緒にいるムサシは、全く昔のままです。それはそれとして何とか受け止められるのですが、もっと不思議なのは、ムサシのアドバイスは、私の年齢に合わせて進化していることです。もしかすると、今でも密かに、日々学習しているのではと感じることがあります。
もっとも、彼の学習能力の高さは以前から定評がありました。例えば、知らないお客さんが来ると、最初は大きな声をだしました。そこでやむを得ず、ピアノの足にチェーンでムサシをくくったものでした。2度目からは、まったく静かなものでしたが、ムサシは、けなげにもピアノの傍に行き、チェーンをつけやすいように首を差し出しました。そのたびに、ごめんね!と謝りましたが、心の中ではその何倍も謝っていたのを覚えています。人間社会とのかかわり方を、今でも研究し続けているのだとしたら、是非その志の高さを学びたいものです。