文殊堂
国道48号線を山形方面から仙台に向かって走ると、左手に小高い山に上る石段が見えてきます。ここは、文殊山(鷹巣山)にある文殊堂です。伊達政宗の家臣・峯八兵衛長秀が当地一帯を拝領し、開山したお堂で文殊菩薩が安置されています。藩政時代は、作並街道から山形に向かう旅人が、この文殊堂付近で仙台城下に別れを告げたといわれています。石段を登っていくと、鎮守の杜の木陰に本尊が鎮座しています。
この文殊菩薩は、仙台城下にある十二支の中の一つで、卯年生まれの守り本尊とされています。うさぎの石像はじめ、境内で大小さまざまなうさぎの姿がみられるのが楽しい。この文殊堂の北を流れる聖沢は、文殊山と峯続きの三滝山から流れ下り、広瀬川へと注ぎ込まれます。この沢に架けられているのが聖橋です。沢と橋の名である「聖」の由来は、高野聖が仙台の三滝山などで修行をしたからとも言われています。
峯八兵衛長秀は、相馬から仙台に移住した修験者でしたが、正宗の家臣となり、代々領家に伝わる文殊菩薩を奉る場を探していたところ、正宗から鷲巣山を拝領し、そこに1603年(慶長8年)、文殊堂を創建したそうです。この年は卯年はで、正宗も卯年生まれであったこという縁もあったのでしょう。開山400年を記念して2,003年、境内に三十三観音が完成しました。ここは寺でも神社でもないので、檀家や氏子はいません。卯年生まれの方や企業が寄進して建てられたということです。