松島の月
松尾芭蕉を奥の細道へ旅立せるきっかけになったのが、松島の月たったとも言われています。その幻想的な「松島の月」とはどんなものなのでしょう。それは、松島湾の水面に映える美しい月の姿が、「金波」「銀波」と呼ばれる二つの顔を見せることによるのかも知れません。満月前後の数日間、月が上ってすぐの海面は金色で、その様子が「金波」、少し時間が経って、月が天中近くに上ると、今度は海面が銀色になります。これが「銀波」というわけです。
この月は、多くの文人や著名人たちを魅了したようです。1922年に訪れたアインシュタインは、月の美しさに心を奪われ「どんな名工の絵でも、どんな精巧な写真でもこういう自然の美は見られない。日本に来て初めての景色だ」と感激の声を放ったと伝えられています。まさに、「月月に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月」といった心境なのかもしれませんね。
ところで、この松島が2013年12月6日、カンボジア王国カンポット州で開催された「第9回世界で最も美しい湾クラブ」へ加盟を認められました。この世界で最も美しい湾クラブとは、1997年に湾を活用した観光振興や地球環境保護、環境資源の保全を目的にフランスのヴァンヌ市(モルピアン湾観光局)に本部を置く非政府組織(NGO)「世界で最も美しい湾クラブ」が設立され、現在、フランスのモンサンミッシュル湾をはじめ、ベトナムのハロン湾、アメリカのサンフランシスコ湾、韓国のヨス湾など、松島を含む40湾が加盟しています。