秋保温泉 茶寮宗園
秋保温泉の歴史は古墳時代に遡る。欽明天皇が皮膚病に苦しんでいた折に秋保温泉の湯が大和に送られ、天皇が沐浴したところ数日で全快、その喜びを詠んだ歌が記録に残っている。藩政時代に入ると伊達政宗の湯小屋が設けられ、その後、庶民に親しまれる温泉として発展、現在も仙台の奥座敷として賑わっている。茶寮宗園は、秋保温泉の中心地にあり、広大な敷地に離れを配した純和風旅館だ。玄関に入ると畳敷きの控えの間から、大胆な絵柄の屏風で仕切られたロビー、ラウンジへと続く。
その窓からは、鯉が泳ぐ池と日本庭園が見える。部屋は数寄屋風の建築を味わえる造り。洗練された和のよさが漂う空間だ。「月影」は、12.5畳、8畳の和室に板間のリビング、そして庭と部屋をつなぐ広縁。庭園には、木々の間を小さな流れの遣水が巡っている。リビングの籐椅子でくつろいだり、和室の床の設えを愛でたり、庭を歩いてみたり、思いのままに心静まる時を過ごしたい。露天風呂は黒御影石の丸い浴槽が心地よく、庭を眺めつつゆっくりと暖まりたい湯だ。
「郭公」は、10畳と8畳の和室にリビング風の広縁。続きの間が落ち着きのある和のよさを醸し出している。そして庭の景色も美しい。畳に座って雪見障子から眺める風景も素晴らしい。温泉は、ナトリウム・カルシウム・塩化物泉。保温・保湿効果に優れ、肌がすべすべになる美人の湯である。現代ではなかなか出会うことができなくなった宗園の数寄屋風純和風空間。ゆっくり滞在して、和の心を思いだしたい。